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お知らせアイコン【O’s Note】成長痛の誤解

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『成長痛』、こどもを持つ親なら一度は聞いたことがあるはずです。でも、整形外科医は簡単に成長痛とは言いません。*1

*1 白山輝樹, ほか. こどもの下肢痛−成長痛で良いのか?日小整会誌 2019;28(1):63-65

 

成長痛とはいろいろな病気がないことを確認して、ようやく付けられる病名です。異常がないと断定するのは結構むずかしい。*2

*2 日下部浩, ほか. いわゆる成長痛と器質的要因による下肢痛との鑑別診断について. 日小整会誌 2009;18(1):22-26

 

成長痛は1800年代の初めにフランス人医師により初めて報告されました。現在でもどうして痛みが生じるのか、はっきりとわかっていません。自然に治り、後遺症もないことから、研究する人も少ないのです。*3

*3 Lehman PJ, Carl RL. Growing pains. Sports Health 2017; 9(2): 132-138.

 

   ◇◇◇

 

いわゆる成長痛には次のような特徴があります。

 

・3歳くらいから小学校低学年までによく起こる。
・両方の膝からすねにかけて痛むことが多い。
・夕方から夜間に痛むが翌朝にはけろっとしている。
・痛みの強さはいろいろで泣き叫ぶこともある。
・痛みは不定期に繰り返し起こり予測不能である。
・そのうち痛みを訴えなくなる。
・画像検査で異常を示さない。

 

 

   ◇◇◇

 

成長期によくある症状で、膝のお皿の下にある骨が腫れて、痛むということがあります。問診と触診でおおよそ見当がつき、レントゲン写真で異常がわかります。オスグッド-シュラッター病(アメリカ人のOsgood先生とスイス人のSchlatter先生の名前が病名になりました)と言いますが、これを成長痛とは呼びません。はっきりした異常があるからです。

 

気をつけたい成長期の痛みがあります。痛みを訴えるこどもの中に、重大な病気が隠れていることがあるのです。

 

ペルテス病は股関節が痛む病気で、早期に診断しないと大腿骨頭の変形が進行してしまいます。MRIが早期診断に有効ですが、身体を触れて詳しく診察し、注意深くレントゲン写真を見ることが、診断の第一歩です。
図1:Case courtesy of Jeevan K Karuppannan, Radiopaedia.org, rID: 184614

 

図1:7歳、 男児、 左ペルテス病

 

骨肉腫は膝、肩などの骨に発生する、10代のこどもに多い悪性腫瘍です。日本では年間200人程度が新たに診断されます。まれな病気ですが命に関わる病気なので、小児の膝痛を診るときに整形外科医は常に念頭においています。成長痛だろうと放置したり、マッサージをしたりすると病状は悪化してしまいます。*4

*4 Wu P-K, et al. The prognosis for patients with osteosarcoma who have received prior manipulative therapy. J Bone Joint Surg Br 2010; 92(11): 1580-1585.

 

膝に発生した骨肉腫(イメージ)

 

成長痛かなと思ったら、まずは患部をやさしくなでてあげてください。少し様子をみてもいいでしょう。でも痛みが続くと「本当に大丈夫かな」と心配になるのは自然なことです。 不安を抱えたまま過ごす必要はありません。経験のある整形外科専門医に相談してください。

 

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