【O’s Note】認知症予防は補聴器よりも運動

お知らせ
2026年1月、日本とデンマークの共同研究グループから興味深い論文が発表されました。日本人の認知症発症を40%減らせる可能性があると言うのです。*1
新聞各紙の見出しは次のようなものでした。
▷認知症の4割「予防可能」
難聴、運動不足などリスク改善で
( 2026/01/12 毎日新聞電子版 )
▷「認知症の4割は予防できる」
難聴などリスク、適切対応で患者大幅減
( 2026/01/12 日本経済新聞電子版 )
▷リスク除去で認知症の4割防げる可能性
難聴や運動不足など14要因
( 2026/01/13 朝日新聞電子版 )
中高年者にとって認知症は「明日は我が身」とも言える心配事。読んだ人も多いかもしれませんね。

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ランセット(Lancet)という国際的に評価の高い医学雑誌があります。ランセット・レポートによると認知症になるリスク因子として以下の14項目が知られています。*2
①教育歴の低さ ②難聴③ 高LDLコレステロール血症 ④うつ ⑤外傷性脳損傷 ⑥運動不足 ⑦喫煙 ⑧糖尿病 ⑨高血圧 ⑩肥満 ⑪過剰な飲酒 ⑫社会的孤立 ⑬大気汚染への曝露 ⑭未矯正の視力低下
これらのリスク因子は、個人の努力、適切な治療、社会の働きかけで改善可能なものが大部分。そこが重要なポイントです。
先の論文は①から⑭までのリスク因子について、日本人の認知症ではどう関わっているのか、疫学データから調べました。それらを完全に取り除いた場合に、日本人の認知症患者を38.9%減らせるかもしれないという結論です。
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6割は予防できないとも読めますが、そこは前向きに捉えましょう。リスク因子を取り除くことで『予防できる可能性』があるのですから。
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日本人の認知症リスク因子の上位3つは次の通りです。
1位 難聴(6.7%)
2位 運動不足(6.0%)
3位 高LDLコレステロール(4.5%)
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実は論文の著者は耳鼻科医。自分が専門とする領域がクローズアップされることはうれしいものです。
整形外科医としては、運動不足が第2位に入ったことに注目です。なぜならランセット・レポートでは運動不足は2%しか関与していないのです。日本人はどれだけ運動しないのか! ( 😭 )
さらに今回の調査ではランセット・レポートよりも「運動不足」の基準が甘く、運動不足の関与は実際にはもっと大きいだろうと、著者らは考察しています。
補聴器も薬も必要としない、お金のかからない認知症予防法、『運動』は最高だと思いませんか?

*1 Wasano K, Jørgensen K. The potential for dementia prevention in Japan: a population attributable fraction calculation for 14 modifiable risk factors and estimates of the impact of risk factor reductions. Lancet Reg Health West Pac 2026; 66: 101792.
*2 Livingston G, et al. Dementia prevention, intervention, and care: 2024 report of the Lancet standing Commission. Lancet 2024; 404(10452): 572-628.
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