「痛み」とひとことで言っても、その原因や仕組みはさまざまです。
実は、痛みのタイプによって治療の方法も変わります。ここでは、医療の現場で使われている “ 痛みの分類 ” を、わかりやすくご紹介します。
医学的には、「時間軸」「痛みの仕組み(機序)」「疾患の種類」の3つの視点から考えて、治療方針を決めることが一般的です。

「痛み」とひとことで言っても、その原因や仕組みはさまざまです。
実は、痛みのタイプによって治療の方法も変わります。ここでは、医療の現場で使われている “ 痛みの分類 ” を、わかりやすくご紹介します。
医学的には、「時間軸」「痛みの仕組み(機序)」「疾患の種類」の3つの視点から考えて、治療方針を決めることが一般的です。
あなたの痛みを以下のことから考えてみましょう。
①いつから続いているのか(時間軸)
②どんな仕組みで起きているのか(機序別)
③どんな病気が背景にあるのか(疾患別)
次から、ひとつひとつ解説します。痛みを理解することは不安の解消につながり、回復を早めるでしょう。
痛みが続く期間によって、次の3つに分けられます。
〇急性痛:発症から数日〜数週間
ケガ、ぎっくり腰、感染などのときに身体が発する “ 警告サイン ” です。
〇亜急性痛:発症から数週間〜3か月程度
急性期の炎症は落ち着き、傷んだ組織が治っていく時期の痛みです。
〇慢性痛:3か月以上
組織の治癒が終わっても痛みだけが残ることがあります。
〇急性期の治療は— “ 守る・しずめる ”
まずは悪化させないことが最優先。局所の安静、薬の治療で回復を待ちましょう。
〇亜急性期の治療は— “ 動いて回復を促す ”
安静にしすぎると回復が遅れます。ストレッチや筋トレを開始し、日常生活の動きを徐々に取り戻します。
〇慢性期の治療は— “ 体と心の両面から ”
脳や神経の “ 痛みの感じ方 ” も原因のひとつ。痛みに対する誤解や恐怖心を減らし、痛みの悪循環から抜け出すことを目指します。
痛みの “ 発生メカニズム ” によって、次の3つに分けられます。
〇侵害受容性疼痛:ケガ・炎症・組織損傷による痛み。
例:捻挫、骨折、関節炎、筋肉痛
〇神経障害性疼痛:神経そのものが損傷・障害されて起こる痛み。
例:神経根障害、帯状疱疹後神経痛
〇痛覚変調性疼痛:脳や脊髄の “ 痛みの感じ方 ” が過敏になって起こる痛み。
例:線維筋痛症、慢性腰痛の一部
〇侵害受容性疼痛の治療は、鎮痛薬の内服と外用が中心です。物理療法や運動療法も行います。注射による治療も必要に応じておこないます。
〇神経障害性疼痛の治療は、プレガバリン、ミロガバリンといった、痛みを感じる神経の興奮を落ち着かせる薬が第一選択です。抗うつ薬も有効です。神経に直接薬液をしみこませるブロック注射も行われます。
〇痛覚変調性疼痛の治療は、いろいろなアプローチが必要になります。検査で異常がみつからないことも多く、不安と焦りが症状を長引かせます。薬物療法やリハビリテーション治療のほか、精神・心理療法が必要になることもあります。
どんな病気があるかによって、大きく2つに分けられます。
〇がん性疼痛 — 腫瘍そのもの、転移、治療 ( 手術療法・化学療法・放射線 ) によって生じる痛み:がんの進行にともなって痛みも変わるため、「緩和医療」という独立した医学領域があります。
〇非がん性疼痛 — がん以外の疾患に伴う痛み:「この痛みは内臓から?」と不安をもつ人も少なくありません。しかし、通常の痛み治療で改善傾向がみられるときは、ほとんどが非がん性疼痛です。痛みの “ レッドフラッグ ” を見逃さないことが大切です。