くも膜下出血など緊急を要する疾患を除けば多くは緊張型頭痛、片頭痛が大半を占めます。的確な診断にて特に緊張型頭痛はリハビリ、薬物にて治療が可能です。また片頭痛については最近発作時に有効な注射薬が開発され、治療に使われています。
腰痛を生じる疾患としては、椎間関節症、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症、圧迫骨折、椎間板ヘルニア、骨腫瘍などがあります。また、腎盂腎炎など内臓疾患でも腰背部痛を伴う場合があります。これらの中で下肢痛・下肢麻痺が伴えば中高年に多いヘルニアや狭窄症が考えられMRI検査が有効です。診断が明らかになれば神経ブロックがリハビリとともに有力な治療手段となります。レントゲン撮影で圧迫骨折が見られた場合、骨粗しょう症か脊椎転移癌によるものかなどの鑑別が必要になります。圧迫骨折があると椎体の変形により脊髄(馬尾神経)、神経根が障害を受け、疼痛、下肢痛、下肢のしびれなどが出現します。
肩関節は最も多方向へ運動の出来る関節で、腱・筋が複雑に組み合わさっています。これらの関節周辺の腱、靭帯などは日常の動作を繰り返すだけでも目に見えない傷が出来やすいものです。その傷が引き金になって鍵や靭帯の周囲に炎症が起こると、やがて関節包が縮み炎症のため痛みと運動制限を生じます。これを肩関節周囲炎、俗に五十肩といわれる病気です。症状としては、痛みと動きの制限が主な症状です。痛みは関節を動かしたときにも動かさないときにもあり、夜間に強くなる傾向があります。また肩だけでなく腕や肘にも痛みを感じます。病気のはじめは痛みが主で、手を背中にまわす、外へ広げる、前へ伸ばすなどの動作で痛みを伴い、数週間から数ヶ月のうちに動きがだんだん悪くなり、服の脱衣、整髪動作などが困難になります。治療法にはリハビリで温めたり体操で動きを回復させたり、炎症止めの飲み薬・貼り薬、関節への注射、神経ブロックなどが主な治療法です。
整形外科では腰の痛みとともに多いのが首の痛みを訴える患者さんです。交通事故では頚椎捻挫いわゆるむち打ち症として有名ですが、外傷以外で起きる病気では頚椎症および頚肩腕症候群があります。頚椎症は首の痛みとともに腕から手にかけてのしびれ、痛みを伴うことが少なくありません。この中には頚椎椎間板ヘルニア、変形性頚椎症など首の骨や軟骨が神経を刺激することによって症状が出現するようです。診断にはMRI検査が有効で、神経の圧迫部位や程度などが分かります。
頸肩腕症候群は首の痛みとともに肩の張りや背中の張り、時として頭痛を伴うのを特徴とします。これは体質や仕事を含めたストレスが関係し比較的女性に多いようです。リハビリが比較的有効で内服とともに治療し効果を上げてます。
朝起きると家人に顔が曲がっていると言われた。みそ汁を飲むときに片方の口から汁がもれると言った訴えで受診される方が多いのが顔面神経麻痺です。これは現時点でも病態がはっきりしてませんが、ヘルペスを中心としたウィルス説、血管の圧迫説などが言われてます。罹患者の半数以上に味覚障害さらには聴覚障害も出現することがあります。治療はステロイドを中心とした内服薬、星状神経節ブロック、マッサージや鍼などの物理療法にて70~80%が1・2ヶ月の治療で回復しますが、早期診断が大切です。